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１０月１９日発行 タンザニア特集
ナイロビに青空が戻ってきたのは束の間で数日後には雨が降り出し私がナイロビを立つ時には小雨期に入ったような、どんよりとした雨雲が低く垂れ込めていました。 ところが乗り合いタクシーでタンザニアの国境を超えたとたん、そこには小さな竜巻きが幾つも舞っていて土地は乾ききっています。 そして汽車で海岸の街ダルエス・サラームへ着くとひどい暑さで一日に数時間歩いただけでくたびれてしまい、後はホテルのベッドで転がっていました。 だけどオレンジ、やしの実、グレープフルーツなどの果物は豊富に売っていて、しかもケニアで買うよりもまた一段と安く美味しかったし、水分補給の為もあり手当たり次第、口にしていました。
タンザニア国は全体にケニアの田舎のような所で全然他国へ来たという気にはならない。 言葉はほとんどの人がスワヒリ語だけを話していた。 ケニア人が経済上、上、中、下層階級に分かれているのに対して、この国は長い間社会主義路線を敷いてきたため商業を営んでいるインド人が多少裕福な感じに受ける位であとの人々は一様に貧しいように見える。 街には現代的な建物はあまりなく、古びた２、３階建ての建物やトタン屋根と漆喰壁の平屋の質素な家が並んでいる。 政情は一応、安定しているせいか、人々の表情はケニアの人々ほど暗くはない。 しかしケニア同様、ストリートチルドレン、エイズ、麻薬、アルコール中毒が社会問題化している。
首都ダル・エス・サラーム（アラブ語で静かな港）はインド洋に面した街で他の東アフリカ海岸地方同様に古くからアラブの影響を強く受けていてアラブ風建物が軒をつらねていたりアラブ風の服装を着た人がスタスタと町中を歩いてもいる。
とにかく青年が街に満ちあふれている。 例えば一つの大きなマーケット近くへ行くと、いつも新宿の歩行者天国のように人が沢山ひしめいている。 青年達はその道路の両脇に数珠つなぎにつながって、それぞれがズボン・ベルト・服などをいっぱい抱えて道行く人々に売りつけている。 この数珠は延べ数百メートルにも及ぶ。 それらの青年に混じって少年の姿も目立つ。
ダル・エスの街からバスで２０分。 そこから歩いて小一時間。 この地区は昔から海だったところで土は砂地。 やしの木やマンゴーの木など緑はうっそうとしている。 ４ヘクタールを政府から借り受けている。 建物らしきものは、垂木とブリキ板で作られた小さなバラックだけ。 床もなくベッドもなく土の上に直接マットレスを置き、その上に毛布とシーツがある。 ここに２才から１８才までの４０名の元ストリートチルドレンの男の子達と母親代わりの中年女性が住んでいる。 建物は二つに分かれていて一方は彼女の事務所兼、物置兼、彼女と幼い３名のための寝室。 もう一つは他の子供達の部屋。 それでも健康には気を使っていて天井にはマラリア蚊よけの蚊帳が幾つもぶら下がっている。 ボランティアで専属の医師も居るとのこと。 水源は井戸水で沸騰してから飲む。 燃料の炭は木を拾い炭を焼き、売って残りを使う。 畑も子供達が耕している。 コンクリートブロック作りの家も自分達で建設途中。 食事は当番を決めて料理する。
私はロビンソクルーソーや十五漂流記を想いだしてしまった。 自分達の力でなるべくなんでもやっていこうとするところは、それ自体が教育であるし敬服する。
最初は普通の会社組織として発足して、その間にＮＧＯの手続きを進めることにしました。 会社の証明書と取るには、そんなに時間はかからないとのことです。
ダル・エスから通信を発行する予定でしたがとてもそんな気力はなく、ナイロビに戻ってから出すことにしました。 その分、遅れてすいません。
編集 荒川勝巳
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タンザニアはここ数年資本主義化が進み人々の国内移動が自由になり、ダル・エスは人口流入が最も激しい市の一つとして知られている。
