一つは８月１１日にナイロビで１３才のストリートチャイルドが警察官に銃で殺害された疑いが持たれていること。

これには殺人や強盗に慣れっこになっているはずのケニア人もショックを与えられた。

南米などで起きているストリートチュルドレンへの大人の残虐行為はケニアでも知られている。

その蛮行が自分達の国でも起こり、しかもそれが警察官の手で行われたことに、憤りと人権の危機を感じとったようだ。

野党の政治家、人権擁護のリーダー達は一斉に政府に対して拘置されている容疑者を「犯行が濃厚なのだから早く裁判にかけ検挙するよう」求めている。

もう一つの出来事はストリートチュルドレン自身が演ずる「子供達の権利」を主題にした演劇公演で。

９月始めにナイロビでオープンされた。

この演劇はプロのケニア人俳優達の指導により５才から１４才までの実際のストリートチュルドレンが歌、踊り、詩、アクロバットを取り混ぜ行うものでユニセフの関連団体が組織している。

これを見た新聞記者の評によると「演技はぎこちないが存在感が伝わってきて素晴らしい」と賞賛をおしまない。

孤児のワンブワ

遊び時間は他の男の子のように遊び道具の取り合いをするでもなく教室の軒先かフェンスの前へ一人しゃがみ込み、他の子供達の遊びを眺めていた。

その様子は彼が始終、白い長袖のワイシャツを着、黒っぽい長ズボンを履いていたこともあり、人生にくたびれ、諦め果てた初老のように見えた。

まだ、８才だというのに。

彼はよく保育所を休んだ。

休む理由は、だいたいが一張羅のワイシャツの洗濯か畑仕事を彼のおばあさんに命じられてしてたとのこと。

彼は母子家庭の子だったが母親が数年前に亡くなったので、おばぁさんの保護のもと叔母やその子供達と一緒にスラムに住んでいる。

我々が彼の家を訪問すると彼はきまって留守で「河辺（雨期にだけできる川で乾期は水溜まりになっている）へ行っている」と告げられる。

どうやら彼の憩いの場は河辺だけらしい。

そこで保育所を彼にとっての楽しい場とするため或、試みをしてみた。

それは彼を他の子供達より、ほんの少し優遇すること。

例えば遊び道具の古タイヤを彼に他の子よりも長い時間、与える。
彼を授業中により多く誉めるなど。

その効果は直ぐに現れた。

彼は古タイヤを他の子に取られまいとして大声を発し我々を驚かせた。

それ以降、彼は他の子供と一緒に遊ぶようになったし学校も休まなくなった。

変なものを食べて腹痛を起こさないか食物を家で与えられず保育所に来る元気が無いとき以外は。

プロジェクトの動機
私はケニアでボランティアとして働いたのでケニア人達が自らの手で貧困に苦しんでいる子供のために施設を作っているのを知っています。

しかし現在、それらの施設だけでは不足して子供達を保護しきれない状態があります。

ケニア人達は、もっと施設を作りたいのですが建築費、運営費を充分、出せません。

一方、日本ではアフリカに沢山の貧しい子供達がいることを知って、なんとか支援したく思っている人も多くいます。

私は、こういうケニア人と日本人の掛け橋になることを思いつきました。

そこでケニアの友人達とこのプロジェクトを計画し、日本の友人、知人に支援者となってもらい動き出しました。

子供の病気、怪我、体や服装が汚れている時などに親と密かに連絡を取り合っている。

水運びなど臨時に賃仕事ができた時には優先的に母子家庭にその仕事を回している。

ほとんどの子供の養育を無料で見ているので少しでも親から援助してもらおうと貧しくても手に入れやすい教材に使う空き箱や遊び道具を持って来るよう呼びかけている。

会計監査

今年の３月に我々の組織はケニア政府からＮＧＯとして認可されたので、それにともない今年の６月までの１年間の会計報告を監査に提出するよう政府に求められている。

我々は会計士を雇い会計報告提出の準備を進めている。

この会計監査を済ませると５年間、外国からの物品購入に対する免税ライセンスが政府から与えられる。

▲　文明の発達してしまった国に住む私達は未開とい　　われる人々を誤解していると思います。
　　彼等を助けようとするより彼等に教えてもらわな　　ければならないと思うのです。

▽　確かに彼等に教わる面はあります。

　　文頭に載せたストリートチュルドレン自身で「子供の権利」主題の演劇を　　作るという発想はケニア人が真剣に、この問題に取り組んだからこそ生ま　　れたものです。

　　ただ、ストリートチュルドレン等の問題は発展途上国が西洋や日本の物質　　文明の影響受けたことが原因の一つなのではないでしょうか。

　　だから、これらを彼等だけの問題として捉えるのでなく地球に住む総ての　　人々の問題として捉え、一緒に考え協力して解決するべきものだと思いま　　す。